工場の電気設備点検の頻度と方法|法律上の義務も解説 

工場の電気設備点検は、安定した生産活動の維持と安全確保において極めて重要なプロセスです。

本記事では、電気事業法に基づく法定義務をはじめ、各種点検の頻度や具体的な方法、停電を伴う点検への備え、費用相場、点検を怠った場合の罰則や事故リスクについて、専門的な視点から詳しく解説します。 

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電気工事業 第98211号
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600Vを超える電圧で受電し、構内にキュービクル式高圧受電設備などを設置している工場は、電気事業法第38条に規定される「自家用電気工作物」に該当します。

この自家用電気工作物においては、電力会社から供給された高圧電力を自社の責任において安全に管理する必要があり、設置者である工場側に保安責任が全面的に課される「自主保安」の仕組みが採られています。 

自家用電気工作物を設置する工場には、主に以下の3つの法定義務が課せられます。

これらは電気事故を未然に防止するための根幹となります。 

義務項目 該当条文 概要・内容
1保安規程の作成・届出 電気事業法
第42条
保安のための組織、工事・維持・運用に関する方針や手順を定めた保安規程を作成し、事業開始前(または設置前)に産業保安監督部へ届け出なければなりません。
2電気主任技術者の選任 電気事業法
第43条
保安の監督業務を行わせるため、国家資格を持つ電気主任技術者を選任し、遅滞なく届出を行う必要があります。
3技術基準適合維持 電気事業法
第39条
保有する電気設備を経済省令で定める技術基準に適合するように維持しなければなりません。

受電電圧が600V以下(低圧)の小規模な工場は「一般用電気工作物」に分類されます。

この場合、前述した保安規程の作成義務や電気主任技術者の選任義務は適用されません(電気事業法上の自主保安ではなく、一般電気事業者である電力会社側が4年に1回の定期調査を行う義務を負います)。

ただし、労働安全衛生法などの観点から、労働者の安全確保を目的とした独自の自主点検や機械設備の適切な保守管理義務は別途存在するため注意が必要です。 

点検の種類 実施頻度 停電の有無 主な実施者 概要
日常巡視 毎日〜週次 無停電 工場担当者(自主管理) メーター確認、異音・異臭のチェックなど感覚的な異常検知。
月次点検 毎月1回以上(※条件により隔月等も可) 無停電 電気主任技術者(外部委託可) キュービクル等の外観、電圧・電流・漏れ電流の測定。
年次点検 年1回 要停電 電気主任技術者・保安チーム 遮断器、保護継電器、絶縁抵抗測定など停電を伴う精密点検。
臨時点検 随時(異常発生時・災害後等) 必要に応じて 電気主任技術者・専門業者 台風、落雷、地震後や突発的な不具合発生時に実施。

日常巡視(自主的な点検) 

日常巡視は、法律上の直接的な義務ではなく保安規程・自主管理の領域に属しますが、
毎日〜週次でメーターの確認や異音・異臭のチェックを行うことで、設備の異変を早期に察知し大事故を防ぐ上で極めて重要です。 

月次点検|毎月1回以上・無停電で実施 

電気主任技術者(または外部委託している保安法人・電気管理技術者)が毎月1回以上工場を訪問し、
施設を停止させることなく(無停電で)実施します。 

点検頻度を隔月・3ヶ月に1回へ緩和できる条件 

絶縁監視装置の設置、キュービクル式等の条件を満たす場合、
経産省告示第249号に基づき点検頻度を緩和することが可能です。

年次点検|年1回・停電して行う精密点検 

年に1回、工場全体の電気設備を完全に停止(停電)させた上で、
普段は触れることのできない充電部の分解点検や各種保護継電器の動作試験などを行います。 

臨時点検

異常発生時や台風・落雷・地震などの災害後に、被害拡大を防ぐため随時実施します。 

運転中に実施される月次点検では、外観点検、電圧・電流測定、漏れ電流測定などが行われます。
キュービクルの破損や計器類の数値に異常がないかを確かめます。 

産業保安監督部の保安規程例示をベースに、絶縁抵抗測定・接地抵抗測定・保護継電器動作試験・遮断器連動試験など、停電状態下で高度な精密測定・試験が実施されます。 

異音・異臭・過熱・焦げ跡・ブレーカーの状態や、キュービクル周りの雑草・小動物侵入などを確認するためのチェックですのでやってみてください。
大きな機械導入前に必要な電気工事の検討時などにも、日頃の状態把握が役立ちます。 

問題なし 現在チェックされている異常はほぼありません。今後も日常巡視を継続してください。 0 / 5 項目

高電圧がかかった充電部に直接触れて行う精密点検を実施するためには、
安全確保の観点から完全な停電が不可欠となります。 

工場全体の停電は生産活動に直結するため、点検日の生産計画調整をはじめ、
PC・サーバ・通信機器の電源対策、冷蔵・冷凍設備の対応、復電後の機器再起動確認など、
工場目線での綿密な事前準備が求められます。 

一定の条件を満たせば、停電を伴う年次点検を3年に1回とし、
間の2年は無停電点検が可能になる制度の概要が存在します。

「点検サボり=即罰金」というスキームではなく、
電気主任技術者の未選任=300万円以下の罰金(第118条)、届出義務違反=30万円以下(第120条)など、
法的な選任や命令違反に対する罰則が規定されています。 

令和5年度の経済産業省・電気保安統計等によると、
需要設備の波及事故は206件発生しており、地絡・短絡要因の約6割が「保守不完全+自然劣化」=適切な点検で防げた事故でした。

事故を起こすと周辺一帯を巻き込む停電となり、多額の損害賠償リスクに直結します。

年間を通じて発生する感電死傷事故や電気火災のリスクを防ぐとともに、
設備停止による多大な生産損失を回避するためにも定期点検が不可欠です。 

自社で有資格者を正社員として雇用・選任する形態です。

受電電圧が7,000V以下の場合、電気管理技術者や電気保安法人への外部委託が認められています(施行規則第52条2項)。
多くの中小工場で採用されている一般的なスタイルです。 

点検を行う「保安法人」と、不具合の改修や設備更新を担う「電気工事会社」の役割分担を図解のように明確にすることが、工場の安定稼働における重要なポイントです。

外部委託の保安管理費用は、キュービクルの容量や頻度、絶縁監視装置の有無によって変動します。
一般的な目安となる月額費用のレンジは以下の通りです。 

容量レンジの目安 月額保安管理費用の目安
小規模(100kVA程度)
約10,000円〜15,000円 / 月
中規模(200kVA程度)
約15,000円〜25,000円 / 月
大規模(500kVA程度)
約25,000円〜40,000円 / 月
※容量・頻度・絶縁監視装置の有無で変動する目安であり、年次点検時の費用等は別途発生する場合が一般的です。

報告書の指摘事項(絶縁劣化・変圧器やケーブルの経年劣化など)を放置すると重大な事故につながるため、速やかな改修工事が必要です。

詳しい流れは下記の記事をご覧ください。

工場の電気設備点検は、法的義務の遵守と事業継続のための必須の取り組みです。

要点を振り返りつつ、福岡・九州エリアにおける工場の電気設備改修やトラブル対応は、
確かな実績を持つアピコーポレーションへお気軽にお問い合わせください。

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